2025.08.05 / TOPIC
「機械銘板」という言葉をご存じでしょうか?
「機械銘板」とは、機械に取り付けられている、その機械に関する大切な情報が記載された銘板(プレート・ネームプレート)のことです。単なる飾りではなく、機械を安全かつ効率的に使用するために、重要な役割を担っています。
この記事では、機械銘板の役割から使用される素材や加工方法、製作過程まで、初めての方にもわかりやすく解説しています。
銘板の製作方法について、さらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
銘板製作の完全ガイド
また、機械に取り付けられる銘板には、「短冊銘板」や「ダルマ銘板」などもあります。
短冊銘板やダルマ銘板について詳しく知りたい方は、下記ページをご覧ください。
銘板で「制御盤の困った」を解決!
機械に取り付けられた銘板には、主に3つの大切な役割があります。
1.製品情報の表示
その機械が「どういうものなのか」を瞬時に理解できるよう、銘板には以下のような基本情報が表示されています。
・メーカー名
・型番
・シリアル番号
・電圧
・製造年月
これらの情報があることで、製品を正確に識別することができ、機械部品の注文や修理依頼をスムーズに行うことができます。
また、これらの情報がしっかりと表示されていることは、製造メーカーの信頼性を示す証にもなります。
2.使用者を危険から守るため
機械によっては、使用方法を間違えると大きなケガや重大な事故に繋がるものもあります。
そういった機械を安全に使用するために「やけど注意」「感電注意」といった注意喚起が銘板に表示されています。
3.信頼性と品質の証明
製品に社名やロゴを刻印することで、製品が一定の基準を満たした、信頼できるものであることを証明します。
これにより、購入者は安心して商品を選ぶことができるだけでなく、ブランドイメージの向上や他社製品との差別化を図ることが可能になります。
品質保証の観点からも、製造元の情報を表示することは重要な意味を持ちます。
機械銘板に適した素材は、銘板を使用する環境によって異なります。ここでは、代表的な素材とそれぞれの特徴を一覧にまとめました。
役割や素材がわかったところで、次に機械銘板がどのように作られるのかを見ていきましょう。
製作の工程は、大きく5つのステップに分かれています。
【ステップ1】企画・設計
・情報整理
会社名、企業ロゴ、製品名、型番、電圧、注意事項など、どんな内容を表示するか決めます。
・デザイン作成
文字の大きさや配置、色などを決めます。
専用のソフト(IllustratorやCADなど)を使って、完成イメージを作成すると、より具体性が高まります。
・仕様を決める
銘板のサイズや素材、厚み、数量、そしてネジ留め用の「穴」や「両面テープ」などの取り付け方法も決めます。
【ステップ2】依頼
まずはネットで検索し、銘板の製作を依頼できる会社を探しましょう。製品実績や会社概要を確認したり、カタログを請求するのも有効です。
また、同業者に紹介してもらったり、製造系の展示会で探すのも確実な方法です。
2~3社に絞れたら、ステップ1で決めた条件や完成イメージ(あれば)を送って、見積もりを依頼し、価格や納期、担当者の対応を比較します。
依頼前にサンプルを取り寄せると、品質を実物で確認することができるため安心です。
依頼する会社を決めたら、ステップ1で作成したデータを送って、見積もりを取ります。金額や納期に納得出来たら、注文します。
【ステップ3】印刷・加工
選んだ素材に、加工や印刷を施していきます。
・エッチング(腐食加工)
薬品で金属を溶かして、文字やデザインの部分を凹ませるため、凹凸ができます。凹ませた部分に色を入れることで、文字が消えにくくなり、耐久性も高くなります。
・レーザー彫刻や機械彫刻
レーザー光線や刃物で、素材の表面を直接削ったり焦がしたりして文字を刻む方法です。シャープで精密な表現が可能で、一枚ごとに違う番号を入れるのに適しています。
・シルクスクリーン印刷
インクを通す部分だけ小さな穴の開いた版を使い、上からインクをヘラで押し出して絵柄を印刷する方法です。
金属と樹脂の両方に印刷でき、インクが厚く盛られるため耐久性が高いのが特徴です。
印刷の様子は、こちらの動画をご覧ください。
シルクスクリーン印刷の工程
・インクジェット印刷
家庭用プリンターと同じ原理で、微細な粒子のインクを素材に直接噴き付けることで印刷方法です。
写真やグラデーションなどのフルカラー表現が得意。版を必要とせずデータを使って印刷するため、多品種小ロット生産に向いています。
印刷の様子は、こちらの動画をご覧ください。
インクジェット印刷の工程
・アルマイト印刷
アルミの表面に目に見えない無数の穴を開け、その穴にインクを染み込ませた後、その穴を閉じる特殊な方法です。印刷がアルミ内部に封じ込められるため、印刷がはがれにくく、耐摩耗性、耐薬品性に大変優れています。
【ステップ4】仕上げ加工
素材に文字やデザインを入れたら、最終加工を施していきます。
製品や材質によって、加工を先に行うこともあります。
・外形カット
大きな板から、NC加工機やレーザー加工機を使って、製品の形に切り抜きます。
・穴あけ
ネジで取り付ける場合、ドリルで穴を開けます。
・両面テープ貼り
貼り付けて設置する場合は、 裏面に強力な両面テープを貼ります。
【ステップ5】検査・出荷
最終工程では、熟練の担当者が一枚一枚、デザインや寸法、傷や汚れ、異物の有無などを厳しくチェックします。
そして、すべての検査に合格した銘板だけを丁寧に梱包し、お客様のもとへお届けします。
機械銘板は、機械の仕様や性能を正しく理解し、安全に使用するための大切な情報源です。
また、用途や使用環境に応じて最適な素材や加工方法を選ぶことが、長く使用できる銘板製作の鍵となります。
機械銘板の製作に関して、さらに詳しく知りたい情報や具体的な見積りをご希望でしたら、お気軽にお問い合わせください。1977年の創業以来、培ってきた技術とノウハウで、最適な機械銘板づくりをサポートいたします。