金属のエンボス加工とは?
プリントスは操作シート(操作パネル)へのエンボス加工を専門としていますが、エンボス加工の可能性をさらに探求するべく、今回は金属エンボス加工の世界に踏み込んでみます。
金属のエンボス加工は、金属(鉄、ステンレス、アルミ等)の表面に凹凸や模様をつける加工技術のことです。
スタンプを押すように、金属板にエンボス型を押し当てて、凹凸を作ります。身近なものだと、車のナンバープレートなどがエンボス加工を用いて作られています。
この記事では、金属エンボス加工の特徴やメリット、用途、金型作製について詳しく解説していきます。
金属エンボス加工の特徴
- 高度な技術が必要
金属は硬い素材なので、紙に比べて加工が難しく、高い技術と専用の機械が必要です。
- 多様な表現が可能
深い彫り込みや複雑な模様をつけることで、さまざまな表現が可能です。
- 耐久性が高い
金属に直接加工するため、耐久性が高く、長期間美しい状態を保つことができます。
なぜ金属にエンボス加工するの?
- デザイン性の向上
単なる平らな金属板よりも、立体感があり、高級感が増します。
複雑な模様をつけることで、オリジナリティあふれるデザインを施すことができます。
- 機能性の向上
表面に凹凸をつけることで、摩擦を増やし、滑りにくくします。
- 製品の差別化
他にはない独特なデザインや質感を与えることで、製品の価値を高めることができます。
金属エンボスのメリット
紙のエンボス加工は、主に視覚的な効果や触感による訴求力の向上に焦点を当てたものが多いですが、金属エンボス加工は、耐久性、機能性、構造的な強度といった、より機能的な側面でのメリットが大きい点が特徴です。
- 強度の向上
薄い板にエンボス加工を施すことで、板の強度が高まり、曲げやねじれに対する抵抗力を向上させることができます。
- 耐摩耗性が高い
金属は耐摩耗性が高いため、長期間にわたって凹凸を維持できます。
- 機能性の付加
凹凸の突起をつけることで、滑り止め効果や遮音性を高める効果が期待できます。
また、表面積を増やすことで、熱伝導率を高め、放熱や冷却効果を向上させることも可能です。
金属エンボスのデメリット
金属エンボス加工は、製品の魅力を高める効果的な方法です。しかし、加工を施す際には、いくつかの注意点を理解しておく必要があります。
- コストが高い
金属の種類や硬度によって加工性が異なり、最適な加工条件を設定する必要があります。また、厚みや形状によっては加工できないものもあり、形状の制限がかかる場合があります。
金属の熱膨張や加工時の変形などを考慮する必要があり、高い寸法精度を求める場合は、より高度な技術が必要となります。
- 表面処理
金属の酸化を防ぐため、防錆処理などの追加工が必要になることがあります。
エンボス加工後に塗装を行う場合、凹凸部分への塗料の密着性が低下する可能性があります。
- 環境への影響
金属エンボス加工は、廃棄物やエネルギー消費の面で環境負荷が生じます。工程の効率化や金型の再利用などにより、負荷を低減することが大切です。
使用事例をご紹介
金属エンボス加工は、その高いデザイン性と機能性から、幅広い分野で活用されています。
以下に、具体的な事例を一覧でご紹介いたします。
- 自動車の外装部品
グリルやホイールにエンボス加工することで、ブランドイメージやデザイン性を高めます。
- 冷蔵庫
ドアパネルにエンボス加工を施すことで、指紋が目立ちにくくなり、常に清潔な状態を保つことができます。
- 外壁パネル
建物の外観に深みを与え、高級感を演出します。
- 内装材
空間の雰囲気をガラリと変え、個性的な空間を創出できます。
- 装飾品
アクセサリーやジュエリーなど、装飾品にエンボス加工を施すことで、独特の質感と光沢を生み出します。
- 工業製品
機械部品や工具など、機能性とデザイン性を両立させるために、エンボス加工が利用されます。
金属加工の種類
金属加工は、金属を様々な形や性質に変えるための技術です。
大きく分けると「形を変える加工」と「性質を変える加工」の2種類あります。
形を変える加工
- 切削加工
旋盤、フライス盤などの機械を使って、金属を削り出します。
- 研磨加工
表面を滑らかにする加工です。
- 付加加工
材料を付け加えて目的の形状に仕上げる加工です。
- 溶接
熱や圧力を加えて金属を接合する加工です。
性質を変える加工
- 熱処理
金属を加熱、冷却することで、硬さや強度を変化させる加工です。
- 表面処理
金属の表面に処理を施すことで、耐食性(錆びにくさ)や表面に光沢をつけたりする加工です。
金型を使用したエンボス加工の製作工程
金型を製作する工程は、主に5つに分けられます。
- 設計デザイン
加工したい模様を設計し、金型の設計図を作成します。
- 金型製作
設計図に基づいて、金属製の金型を作ります。
- 加工準備
金属板と金型をプレス機にセットします。
- プレス加工
金型で金属板を押し、凹凸を付けます。
- 仕上げ
バリ取りや表面処理などを行い、製品を完成させます。
金型の材質一覧
金属エンボス加工における金型の材質は、加工対象の金属の種類、形状の複雑さ、必要な加工精度、そして耐久性など、様々な要素を考慮して選択されます。
- 工具鋼
高硬度、耐摩耗性、耐熱性に優れており、汎用性が高いです。
シンプルな形状のエンボス加工、高精度な加工に適しています。
- 合金鋼
工具鋼に比べて、さらに硬く、耐摩耗性があり、熱にも強い素材です。
複雑な形状や深い凹凸のエンボス加工、長寿命な金型が必要な場合に適しています。
- 銅合金
熱伝導率が高いため、熱で形を変えるプラスチックのエンボス加工や、低温での加工に適しています。
- アルミ合金
軽量で加工性が高く、コストが比較的安いです。
試作の金型や、小ロット生産用の金型に適しています。
金型の材質選択ポイント
- 加工対象の金属
加工する金属の硬度や材質によって、金型の硬度や耐摩耗性が要求されます。
- 形状の複雑さ
複雑な形状のエンボス加工には、高い加工精度と耐摩耗性を有する金型が必要です。
- 加工精度
高い寸法精度が要求される場合は、硬度が高く、変形が少ない金型を選びます。
- 耐久性
長期間の使用に耐えるためには、耐摩耗性と耐熱性に優れた金型が必要です。
- コスト
金型の材質によってコストが大きく変わるため、予算に合わせて材質を選択します。
金型の寿命について
金型は、製品の量産に不可欠なツールですが、永続的に使用できるものではありません。繰り返し使用することで摩耗や変形が生じ、最終的には交換が必要となります。
しかし、適切な管理とメンテナンスを実施することで、金型の寿命を延ばすことが可能となります。
ここでは、金型の寿命に影響を及ぼす要因と、その対策についてお伝えいたします。
金型の寿命に影響する要因
- 金型の材質
工具鋼、合金鋼、銅合金など、金型の材質によって寿命は大きく異なります。
硬度が高く耐摩耗性に優れた材質ほど、寿命が長くなる傾向があります。
- 加工対象の素材
加工する金属の硬度や材質によって、金型の摩耗が変わります。
硬い金属を加工する場合、金型の摩耗が早く進む傾向があります。
- 加工条件
加圧力、加工速度、加工回数など、加工条件によって金型の摩耗が異なります。
金型の寿命の目安
金型の寿命は、一般的にショット数(金型で製品を作る回数)で表されます。
しかし、これはあくまでも目安であり、実際の寿命は様々な要因によって大きく変動します。
- 短寿命:数百ショット程度(試作品用など)
- 中寿命:数万ショット程度(量産用)
- 長寿命:数十万ショット以上(高耐久性が求められる製品用)
金型が寿命を迎えたサイン
- 寸法精度が低下する
金型の摩耗により、製品の寸法精度が低下し、不良品が発生する。
- 表面粗さが悪化する
金型の摩耗により、製品の表面に傷やバリが発生する。
- 金型が割れる
金型にひび割れや破損が生じる。
金型の寿命を延ばすための対策
- 適切な材質の選択
加工条件に合わせた最適な材質を選択することが重要です。
- 冷却方法の工夫
冷却水を適切に供給し、金型の温度上昇を抑制します。
- 定期的なメンテナンス
定期的な清掃、研磨、コーティングを行い、金型を良好な状態に保つことが求められます。
- 加工条件の見直し
加圧力や加工速度を最適化することで、金型の寿命を最大限に引き出すことができます。
- 予備金型の用意
緊急事態に備え、予備の金型を準備しておくことが望ましいです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。金属へのエンボス加工は、製品に立体感や高級感を出す加工方法です。
耐久性も高いため、様々な製品に使用されていました。
エンボス加工は、高級感や耐久性を高めてくれる素晴らしい加工ですが、初めて金属にエンボスする際は、金属加工を専門にしている会社に相談するのがおすすめです。
あなたの製品に合った金属のエンボス加工を、案内してくれることでしょう。
また、エンボス加工は金属だけでなく、フィルムやシートなどの樹脂に施すこともできます。
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